【実話怪談】「イツサワリ」の御札~京都市内某神社(1980年代)

昭和京都の怪談綴りによるイツサワリの御札のある神社

御札の怪談。

皆さんは何か特殊な目的で「御札」を手にした事はありますか?
ググッても出てこない御札は無数に存在します。
ましてや神社や寺院が数千もある京都においては、世に知れていない宗派や団体も驚くほど存在します。
その中でも一つ、珍しい御札に纏わる怪談を書き綴ってみます。

1.神社のタブーによる怪談

神社に纏わる都市伝説や実話怪談などは、全国無数に御座います。

ja.wikipedia.org


しかしそれらは、誇張された創作であったり、フィルターの掛かった童話や、悪い子を戒めるような子供向けの怪談になっていたりと、後世へ何かを伝えるための物語が残されているのです。

しかし、こう考えたことはありませんか?

場所によっては、何らかの洒落になっていない出来事があって 後世に語り継がれていない怖い話やタブーも存在するのではないかと。
これは、京都の歴史に埋もれたタブーである可能性のある話です。

2.霊感の強い子による恐怖体験

皆さんも学校で、よく霊感が強いだとか、背後霊が見える。 そういった子は、必ずクラスに一人は居たのではないでしょうか。
私が通っていた京都の小学校にも、まさにその手の子がおりました。
今考えてみてもちょっと小学生の作り話とは考えにくい不思議な恐怖体験談がありました。

その子はカナちゃん

彼女の家に、みんなで遊びに行った時の事です。
冬休みの朝から、クラスの子達、数人と自転車に乗っていました。
カナちゃんの家の前を通ったので、誘ってみようと玄関の呼び鈴をピンポンと押します。

カナちゃん遊ぼう!

カナちゃんは大人しいタイプの女の子でしたが それでもみんなと遊ぶ事が多い、社交的な子でした。
そんなカナちゃんが「今日はめっちゃ寒いやん、みんなうちに入っておいで」 というので、カナちゃんの部屋で遊ぶことになりました。

カナちゃんと言えば怖い話

というキャラだったので みんな口々に「カナちゃん怖い話聞かせて!」と言います。

昭和京都の怪談綴りによるイツサワリの御札を持つ霊感少女


カナちゃんは「じゃあちょっと、めちゃくちゃ怖い話するけど、大丈夫?」と言いますが、当然みんな「聞きたい聞きたい」と盛り上がります。
カナちゃんは話を始めると、みんなシーンとしました。

 

3.京都の神社の境内

今年の夏休みの事でした。

カナちゃんは数日間ほど、京都市内のおばあちゃんの家で過ごしました。
両親は仕事だったので、カナちゃんは預けられた、という事です。

おばあちゃんの町は京都らしい町屋が建ち並ぶような地域で、そのすぐ近所にはある高名な神社があります。

昭和京都の怪談綴りによるイツサワリの御札のある神社の境内


この近所にはカナちゃんと同じくらいの小学生たちがいて、その神社の境内へ行くと、いつもみんな遊んでいるのです。

おばあちゃん、神社行ってくるね!

カナちゃんはワクワクしながら神社へ向かいました。
境内の広場のほうから、みんなが遊ぶ声が聞こえます。

あ!カナちゃんや!

久し振りのカナちゃんの登場で、みんながワーっと寄ってきました。
ここの子達はみんないい子でいつも楽しくて、時間を忘れる勢いで遊んでおりました。

4.消える人たち

楽しい時間は過ぎるのが早く、気が付けば夕焼けです。

昭和京都の怪談綴りによるイツサワリの御札のある神社の夕焼け


今までで見た中で1番だろうってくらいに真っ赤な夕焼け空を、みんなで見ていました。
いつもと違う環境での真っ赤な夕焼けという物に、小学生の彼等には言い知れない高揚感や切なさなどを感じたのではないか、と思われます。

カナちゃん、そろそろ帰っておいでや

境内の入口の方から、おばあちゃんの呼ぶ声がしたので、カナちゃんは振り返って返事をします。

は~い!おばあちゃ・・

ところがそこには、誰もいません。

カナちゃん、誰と喋ってるん?

みんなが変な事を言うので、カナちゃんはみんなの方へ向き直します。

え、だって今、おばあちゃんが呼ん・・

ところが、カナちゃんが向き直したそこには誰もいません。

昭和京都の怪談綴りによるイツサワリの御札のある神社の境内の夕陽


おばあちゃんだけでなく、今まで目の前に居た友達たちも消えたのです。

うわああ!

あまりの事に、カナちゃんはびっくりして尻餅をつきました。
これはヤバイと思ったカナちゃんですが、彼女は人よりもこういった不思議な体験には慣れています。

普通の人ならば、間違いなくダッシュでおばあちゃんの家に走ります。
ところがカナちゃんは、神社の本殿の方へ走ったと言うので、子供ながらにその冷静さが凄いと思います。

カナちゃんは本殿へ駆け込み、「助けて!神主さん!」と叫びながら廊下を走り回りました。
この時、「止まれば捕まる」と感じたそうです。

昭和京都の怪談綴りによるイツサワリの御札のある神社の本殿


夢中で廊下を走っている途中、なぜか「きっとここだ」と強く感じた障子を開きました。

 

5.神主さんと不思議な御札

カナちゃんの勘は当たり、そこには神主さんが正座して祈祷をしていました。
神主さんは、カナちゃんの方を見ると立ち上がります。

お嬢ちゃん、ええ判断や、もう大丈夫や

そう言ってカナちゃんに大きな御札を渡しました。
受け取ったその瞬間、視界がぼやけはじめて、ホワイトアウトします。
朦朧とした意識の中で、あちこちから誰かがカナちゃんを呼ぶ声がしてきます。

カナちゃん!カナちゃん!
カナ、カナちゃんや、起きや

目を開けると、境内の友達とおばあちゃん達がいました。
みんなの話では、おばあちゃんが境内に迎えに来た時に、カナちゃんは突然気を失って倒れたそうです。

カナちゃんバイバイ!また遊ぼうな!
みんなありがとうな!また来るしな!

時間も遅く、日も暮れかけていたので、みんなも家に帰ります。
カナちゃんは、そのままおばあちゃんと手を繋いで帰りました。
その帰り道で歩きながら、おばあちゃんに気絶した時に見た夢の話をします。

もうめっちゃ怖かったよ~

話を終えると、おばあちゃんは急に立ち止まりました。

カナちゃん、ちょっと付いておいで

そう言って、カナちゃんの手を引いて神社に戻り始めました。

6.西陽の怪異と御札

神社へ着くと、本殿に上がり、おばあちゃんは神主さんを呼びます。
引き戸がガラガラと開いた先に居たのは、なんと夢で見た神主さんでした。

いらっしゃい

呆気に取られるカナちゃんに、神主さんはにこりと優しく笑いながら、御札を出してきました。

あー!

なんと、御札も夢で見た物でした。

孫を守って下さって、ありがとうございます

頭を下げるおばあちゃんに、神主さんも頭を下げています。

今日の夕焼けはえらい赤かったでしょう。女の子やさかい、西陽に当てられたんやな

神主さんとおばあちゃんは、お茶をすすりながら暫く話をしていましたが、カナちゃんには難しくてよくわかりませんでした。

大人になるまで、これを机の中に、大事にしまっておきなさい

神主さんはそう言って、カナちゃんに例の御札を渡してきました。
ここまでが、カナちゃんの体験した怪談でした。

 

7.霊感少女とイツサワリの御札、「五つの触り」について

当然、カナちゃんの話にのめり込んでいた全員が一斉にカナちゃんの机を見ます。

・・そやんな、見たいやんな

カナちゃんは机の引き出しから、小さな白木の箱を取り出しました。
みんなが一斉に、押しくらまんじゅうのように、カナちゃんを囲みます。

白木の箱の中には、やはり御札が入っていました。
御札には、なにやら複雑な模様と漢字がたくさん詰め込まれていました。

イツサワリっていう御守りやねん。私みたいな変な子供を神様が守ってくれるねん

目をキラキラさせてそう言った、カナちゃんの純粋な笑顔を今も覚えております。
あれから気の遠くなるような時が流れました。
そしてネットを使うようになった昨今では、あらゆる神社や御札などの情報を得られるようになりました。

私もこのお話を文章に起こす際に、記憶にあったこの御札について調べてみると、内容的にもかなり近い情報はいくつか見つけました。
神主さんとのやり取りから察するに、この御札は女の子が大人になっていく不安定な精神状態が、何かによって取り込まれるのを防ぐ神様だったのでしょうか。

「おそらくは、これだろう」という目星はついているのですが今となってはどれがカナちゃんの持っていた御札なのかを知る術はありません。

dictionary.goo.ne.jp

この記事のように、「五つの触り」などが近いかもしれません。
しかしこれらと類似した物を見ても、京都の神社との関連性などを考えると首を傾げます。

このお話はここまでとなりますが、このカナちゃんという霊感少女の怖い話はたくさんありますので、それはまた別の機会にお話します。