【学校の怪談】「続く」のテロップが出る悪夢に出てくる変な医者~向日市(1980年代)

昭和京都の怪談綴りによる向日市の悪夢の医者

テロップが出る悪夢。


夢なのに、まるでテレビ番組のように「続く」などとテロップが出てきて、後日その続きを見る。
このような都市伝説や似たような事を体験したり、誰かに聞いたことはありませんか。
今回は京都の向日市で起きた、そのような学校の怪談を綴ってみます。

向日市の学校で出た悪夢の怖い話

京都の向日市。
それは中2の頃、ある日の休み時間。
ケンちゃんのクラスは仲が良くて学年で一番うるさく、いつも担任を悩ませたそうです。

その中でもクラスで1番明るくてかわいい、人気のあるユカが、いつになく凄いテンションで何か喋ってます。
みんなユカの周りに集まって、わいわいと騒いでいました。

もうめっちゃ怖いねんって!

ユカはなにやら怖い話をしているようです。

昭和京都の怪談綴りによる向日市のある中学校でどさくさに背景に紛れる伏見七狐

~1日目~悪夢の変な医者


ユカの話では、こうです。

まず気がついたら、どこか薄暗い部屋にいました。
真っ暗ではないのですが、薄暗く、壁は冷たそうな打ちっぱなしのコンクリートです。
ユカはなぜか台の上に寝かされていて、手首と足首を縛られていて身動きが取れません。

なんとか拘束を外そうともがいていると、突然ドアがガチャっと開いて一人の男が入ってきました。
男は白衣を着ており、眼鏡とマスクを着用してます。
「医者」ということでしょうか。

昭和京都の怪談綴りによる向日市の女子中学生が体験した恐怖の悪夢に出てくる医者


一体何者なのか、男の顔を確認しようと、ユカは自由な首だけを動かして必死で見ようとしますが、男はこちらに背中を向けて、なにやらカチャカチャと作業をしているようで顔が確認できません。
そして男がこっちを向こうとした瞬間に・・・

昭和京都の怪談綴りによる向日市の悪夢に出てくる医者が振り返る瞬間にテロップが出てくる


なぜか映像はストップして、まるでテレビのテロップのように「続く」と表示されて、目が覚めたそうです。

なんやねん、それだけか!」と、ユカはみんなに野次られております。
リアルな実話怪談を期待していたクラスメイトからすれば、拍子抜けだったようです。

しかしユカは「いや、めっっっっちゃリアルやってん!」と、共感を得ようとムキになっています。
人気者のユカは「はいはいユカちゃん、大丈夫やで~」と、女子達にハグなどされて、なだめられてました。

確かに変な医者は気味が悪いですが、あの気丈で明るいユカがそんなにムキになるほどの内容の悪夢なのかと、ケンちゃんはこの時すでに引っ掛かっていたそうです。

 

~2日目~悪夢の変な医者が接近

なんと、またユカの周りにみんな集まって騒いでます。
それも一時間目も始まっていない朝からです。
も~怖い~!
そう言うユカを、女子達は抱きながら、頭を撫でています。
それは怖いはずです、なんと前日のあの怖い話、夢の続きを見たそうだ。

ユカの話も2日目となると、さすがに怪談ということになってきます。
前日は、変な医者が振り返る瞬間に止まった状態で「続く」のテロップが出て終わりました。
そして昨夜はその続きとなり、やはりユカの方を振り返ったそうです。

昭和京都の怪談綴りによる向日市の悪夢に出てくる吊り目の医者がこちらを見た瞬間


マスクと眼鏡で誰だかわからないが、眼鏡の奥の吊り目が見えたらしい。
男は手術用のゴム手袋を装着しながら、こちらへ歩いてきました。
ゴム手袋のギュギュッという気持ち悪い音が部屋に響く。
ユカは相変わらず手足を台に固定されて動けない。

男がユカに接近する途中でまた映像が止まり「続く」とテロップが出てきて目が覚めたそうです。
悪夢を見ているユカ本人はたまったもんじゃないですが、聞いている奴らは「たかが人の夢」なので危機感もなく、逆に興味津々です。

~3日目~白昼まで出てくる変な医者の悪夢

登校してみると、ユカのテンションが低い。

ユカといつも一緒にいる女子だけが、ユカの周りにいて、何やら小さな声で話していた。
昼休みになって、ユカが心配だったケンちゃんは「ユカ、大丈夫か?」と聞いてみた。
本人にとっては、既に怪談どころか深刻な話になっていたようで、今回は、お母さんがユカのベッドで一緒に寝てくれたらしい。

しかし、それでもやはり悪夢の続きは来たそうです。
変な医者は、ユカが固定されている台の横まで来て、止まった。

恐怖で寝たふりをしていたユカは、男が何をしているのか、恐る恐る薄目をあけて確認しました。
するとそこには、ユカの眼前に顔がありました。

昭和京都の怪談綴りによる向日市の女子中学生の悪夢に出てくる不気味な医者のニヤけた顔面


男はマスクを外しており、眼鏡の奥にある目は三日月のようにニヤニヤしています。
その不気味な顔は、ユカの全く知らない顔でした。
ユカは恐怖で硬直して、叫ぶこともできずに

ハァハァと息を荒げて「やめてください。。許してください。。」と懇願しました。

すると、男の後ろから「娘を返せ!私のユカに何すんねん!!!

ユカのお母さんの叫び声でした。
ユカは、ハッと目が覚め、飛び起きます。
起きてみると、一緒に寝ていたお母さんに抱き締められていました。

あんた、怖かったんやな、お母さんが守ったるから大丈夫

ユカは、かなりうなされていたようで、お母さんが戻してくれたわけです。

頼もしいお母さんやな、良かったなユカ

とユカに労いの言葉を掛けたケンちゃんでしたが、ユカは話を続けます。

目が覚めたんやけどな、、起きる瞬間、やっぱり続くって出てきた」 

これにはさすがに、ケンちゃんやユカの友達も
もうただ事ではないという空気になっていました。

しかしユカのお母さんも、深刻に捉えたらしく
朝から実家のおばあちゃんに電話して相談していたそうです。
由緒ある魔除けの御守りを授かってきてくれるとのことでした。

おばあちゃんこういうの詳しいから、少し安心してんねん

昼休み終了のチャイムが鳴ったので、みんなが席に着きます。

しかし、これがケンちゃんがユカと交わした最後の会話になるとは、この時はそんなこと、考えてもいなかったわけです。

授業中、弁当で満腹だったケンちゃんは、あまりに退屈な授業にウトウトしはじめました。
その時でした。

いやあああ!やめて!やめてえええ!!!

あまりの金切り声に、ケンちゃんはバタンと起きる。
叫び声の主は、ユカでした。

ユカは椅子から落ちて、転げ回りながら叫んでました。
先生が駆け寄り、ユカの体を起こして「ユカ!ユカ!」と呼び掛けますが
ユカは白眼をむいて、痙攣していました。

事態を重く見た先生は、そのままユカを抱え上げて教室を出て、ユカと仲の良い女子達も、先生を追って行きました。

 

~4日目~学校の怪談

朝から、先生がユカの話をしました。

お前らな、みんな知ってる通り、ユカはあんな奴や。明るくて、優しくて、面白くて、な

教室中がシーンとしているが、みんなが無言でコクコクとうなずく。
人気者だったユカなので、クラス中が同意するところだ。

あいつも、いっぱい考えて、だから心が疲れて、多感なお前らの時期にはよくある事やねん

先生は続ける。

しばらく、休ませてやってくれ。また元気に教室入って来よるわ

シーンとした教室内で、みんなうつむいて、何人かが鼻をすする音が鳴っていたそうです。

ユカが欠席しはじめて、しばらく日が経ったある日。
ユカと仲良かった女子達が、ケンちゃんに話し掛けてきました。

ケンちゃん、あのな。昨日ユカの家に行ってみたら、空き家になってた

当時、スマホどころか携帯電話やポケベルすら、まだ普及していなかった時代でした。
大人が事実を隠している限りは、ケンちゃん達には、ユカの所在を知る方法はありませんでした。
先生が言っていた通りだとすれば、ユカさんは心の病に犯され、療養に専念するため、家族ごと引っ越したと考えられます。

しかしリアルタイムでユカさんと関わっていたケンちゃんは
あれは心の病ではない。ユカは病んでなかった」と言い切っておりました。

心霊なのか、人の心の病みだったのか。
どちらにせよ、穏やかではない怖い話です。

このユカさんの話を真剣に語っていたケンちゃんを見る限り、これは完全に実話怪談だろうと思いました。
現在はユカさんが向日市におられるかは知り得ませんが、ただただ、心身とも回復されて元気に暮らされていることを願うばかりです。

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