【怪談小話】戦慄!ビルに映った夜の市バス~四条烏丸(1980年代)

昭和京都の怪談綴りによる京都市バスの四条烏丸

緊張の車内。


夜のバスに乗り込むと、運転手さんと自分だけの状態。

京都の市バスでこういった状態は夜でもレアと言えるでしょう。
今回はその昔、兄が体験した戦慄の怪奇現象、実話怪談を綴ってみます。

その頃、私と歳の離れた兄は市内で夜までバイトしておりました。
ある夜バイトを終えた兄は、いつものバスに乗りました。

珍しい事にバスには誰も乗っておりませんでした。
どのみち次のバス停くらいで、きっと何人か乗ってくるのですが、兄は妙に不安な気分になり、運転手さんと近い一番前の席に向かいます。

兄が席へ座ると、ドアが閉まり、バスが出発します。
なんというか、室内灯がいつもより薄暗く感じる。
なんだか車内の空気がくすんで見える。

霊をよく見るという自覚のあった兄は、何だか胸がザワザワとしてきます。
乗客は自分だけのはずが、どうも人の気配を感じて、背筋がゾクゾクして首筋に鳥肌が立ちます。

後ろを振り返り、車内をキョロキョロ見渡したりしますが、なにも変わりありません。
出発してすぐに、バスは赤信号で停車しました。
兄は最近、バイトのシフトを入れすぎて、ちょっと疲れているのかもしれない、などと
考えながら「ふ~・・」っと息をついて、背もたれに体を預けます。

その時、視界の左端のほうに見える景色に「あってはならない映像」が飛び込みました。
 
バス進行方向の左側、ビルの一階がショールームになってます。
もう営業時間も終了し、真っ暗なショールームのガラス。
車内灯がついているこのバスの車内が、その真っ暗なガラスに映っています。

兄は恐る恐る、そのビルの方へ首を向けると、、なんとそこには、乗客は兄だけのはずの車内に、たくさんの人間が映っています。

兄は思わず「うわあ!」と大声を出してしまいました。
兄が突然大声を出すので、運転手さんは後ろを振り返りました。

うわあああ!

次に叫んだのは、運転手さんでした。
兄もバッと客席の方を見ると、やはり誰も乗っていません。
運転手さんは

あの、お客さん、今ビルに映ってましたよね!?

と言ってきたそうです。

私はこの兄の実話怪談について気になりまして、ざっと市バスの歴史を調べてみましたが、特にこの場所でバスの乗客が一斉に亡くなられたような大きな事故は見つかりませんでした。
四条烏丸から少し北の御池通りなどは、その史実から様々な都市伝説があるのですが・・一体、兄と運転手さんは何を見たのでしょうか。

また、このようなタイプの心霊体験談は、どこかで聞いたことがあるような話だとは思いました。

ただ、この兄の話で、私がゾッとしたのは


ビルに映っているバスの乗客は全員・・・


こっちを見ていたそうです。

ja.wikipedia.org

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