【実話怪談】恐怖!深夜に誘いに来るマネキン~京都某商店(1990年代)

昭和京都の怪談綴りによるマネキン



恐怖のマネキン。


主に人が着用する物を魅せるためのサンプル、生命の無いファッションモデルです。
怖い話、「本当に生きていないのかな」などと感じたことってありませんか。
今回は地元京都でもあった、そのマネキンによる強烈な実話怪談を書き綴ってみます。

1.店舗住宅の裏口にあるマネキンの首

若い頃、京都にある知り合いの店舗に住み込みで働いておりました。
その商店街は、全て二階建ての店舗住宅になっていました。

店の奥の扉の先に台所があり、二階は寝室です。
その台所にある裏口のドアが、ちょうど店の真裏になります。
これが実質、生活での出入り口になっていました。

当時の商店街は、この住居店舗の形が主流でした。
そしてこのお店の隣は美容室でした。
美容室の裏口の前には棚が置いてあり、ここに練習用のマネキンの首が並んでいました。

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美容師さん達は、このマネキンの首に、カツラを被せてカットなどの練習をするわけです。
しかしこの裏口は夜は真っ暗になるため、防犯上、常に薄暗い明かりが灯ります。
そして暗闇で照らされるマネキンの首は実に気味が悪かったのです。

 

2.深夜の訪問者

ある深夜のことでした。
私は二階で本を読みながらウトウトしていると、裏口から呼び鈴が鳴ります。

裏口には「ピンポン」となる呼び鈴が付いていなかったので、二階からドアの前に紐を垂らして、引っ張ると窓に鈴が当たるようにしておりました。
まさに本当の「呼び鈴」だったわけです。

その呼び鈴が窓にカランカランとあたっているので、これを知っているという事は、友達が来たという事です。

時計を見ると、深夜2時です。
こんな時間に、誰がいるやも知れない家屋裏の窓を開けるのはちょっと怖い話です。

我ながら嫌な呼び鈴を作ったなと思いながら窓を開けます。
そして、窓から見下ろした裏口の前に居たのは、、

昭和京都の怪談綴りによる美容院のマネキンの生首


なんと、美容室のマネキンの首が5個並んでいました。
薄明かりに照らされて、青く光る生首です。

私はかなり大声で「うわ!」と叫び、後ろへ飛ぶようにひっくり返りました。
そしてすぐに、外から聞き慣れた笑い声がします。

ごめんごめん!俺や俺!

友人Nの声でした。

3.更なる恐怖へ至る

いくら友人だとわかっても、実物の衝撃映像を見たわけです。
「ドッキリでした」と言われて収まる物でもなく、這いつくばるように窓へ向かい、まだ呼吸をハアハアとしながら窓の外を覗くと、そこには指を指しながら笑う友人Nが立ってました。

私はとりあえず友人Nを中に入れて「いくら何でもタチが悪いぞ」と怒りました。
友人Nは、「悪かったよー」とは言っているものの、怒りが収まらない私は更に続ける。

深夜2時やぞ?玄関前にマネキンの首を並べるとか正気じゃないやろ!?

その時でした。
トーンを上げて怒る私を見ながら友人Nの表情は急変して、「うわああ!」と言いながら後ろへ飛び退いて、私の顔を見ました。

どうしたのかと聞くと、友人Nは目を見開きながら答えた。

俺、、呼び鈴を鳴らして、隠れただけやで?

友人Nが青ざめた顔でそう言うので、私は一連の状況を振り返ってみます。
そして今、一体何が起きているのかということに気が付きます。

実はこの時既に、もはや完全に怪談でしかない恐怖の事態が起きていたのです。

 

4.背筋の凍るマネキンの恐怖

ざっと振り返りますと、、
まず、友人Nが呼び鈴を鳴らして、私が窓から見下ろした。
そしてそこには、「マネキンの首が5個」並んでいた。

私は驚いてひっくり返り、友人Nの声がしたので、再度窓から見下ろした。
この数秒の僅かな時間に、マネキンの首を全て片付けること自体が不可能だという事です。

友人Nは単に隠れて私を驚かせようとしただけだったのに、なぜ私がそこまで驚いてるのか、という理由を知った瞬間に、ギョッとして思わず声が出たようです。
これはお互いの態度や反応に嘘がないということが、付き合いの長い友人として互いに分かっていたので、私達にとっては背筋の凍るような怖い話でした。

私の体験した恐怖の中でも、ひと際リアルな実話怪談として今でも脳裏に焼き付いております。