【実話怪談】霊感の強い兄と心霊のいる風呂~府内公団住宅(1980年代)

昭和京都の怪談綴りによる古い団地の夜の風呂場で足元を狙われる伏見七狐

霊感強い系の人。


私と歳の離れた兄貴は、自他共に認める、いわゆる「霊感の強い人」です。
一緒に暮らしていると不可解な出来事を一緒に体験することも多々ありました。
兄貴が体験したあの恐怖は、幽霊なのか、幻覚なのか。
1つ、ゾクっとくる怖い話を書き綴ります。

1.日常の家庭

京都の外れの日常風景、ある日曜の昼下がりでした。
私はお茶の間でファミコン、その背中の台所で、母がタントンタントンと夕食の仕込みをしておりました。

ただいまー

兄貴が帰ってきました。
午前だけ入っていたバイトを終えたようです。

兄貴は帰ってくるなり、風呂場へ。
団地なので間取りも狭く、風呂場の前で服を脱ぎながら、台所で用事をする母と、あーだこーだと喋る、いつもの光景です。

風呂場の扉がガチャンと鳴ると、会話はそこで終わります。
シャワーなんて物は庶民の家にはまだ普及していなかったので、洗面器でお湯を体にザバーとぶっかける音がします。

この直後、穏やかな日常の風景は壊れます。

 

2.霊感の強い兄貴

うわあああああ!!!

風呂場からでした。
家族の前でもいつも冷静で、取り乱す事の無い兄貴の物凄い叫び声と共に、ガタン!バコン!という激しい衝突音が鳴り響きました。

母は慌てて風呂場に走りますが、私に向かって「あんたはそこにいなさい!」と怒鳴りました。
母親なので、霊感の強い兄貴に何が起きたのか検討が付いていたのです。
しかし当時子供の私にはサッパリわかりません。

穏やかな日曜の白昼に、兄貴と叫び声と、母の怒鳴り声。
その異常事態に、ただただ心臓がバクバクしていました。

風呂場の方からは、母と兄貴が小声で話しています。

ファミコンの音を消したら、聞き取れたと思うのですが
聞いてはいけない話のような気がして、そのままファミコンを続けました。
暫くして、兄貴と母が戻ってきました。

私は「お兄ちゃん、大丈夫?どうしたん?」と聞くと、兄貴は「おお、大丈夫やで。ちょっと風呂でコケてしまってな」と答えました。

母は、そそくさと押し入れの奥から白木の箱を取り出します。
箱の中には変わった形の太い数珠と、なにやら古い書物などが入っておりました。

昭和京都の怪談綴りによる魔除けや厄除けに使われる数珠の類


あんた、今日はこれ付けて寝なさい

母がそう言うと、兄貴は無言で数珠を受け取りました。
こわばった表情でコクンと頷きあう二人に、私は怖くて何も聞けませんでした。

3.心霊のいる風呂

それから数年後。

高校生になっていた私は、夜中に兄貴と京都府内にあるラーメン屋へ食べに行きました。
その時に当時の事を思い出して、一体風呂場で何が起きたのか兄貴に聞いてみました。

あれなぁ、まあよくある事やねんけどな

内容はこうです。
まず、風呂釜の蓋をあけて、洗面器でお湯をすくい
体にザバーっとお湯をぶっかけます。

体を洗い終えて、泡を流して、そのまま頭にもお湯をぶっかけます。
兄貴はこの辺りで、なにか違和感を感じました。

シャンプーを流そうと、湯船に右手で洗面器を差し入れたその時
兄貴はその違和感の正体に気がつき、ギョッとしました。

水面に映る自分の姿も、右腕を出している。

昭和京都の怪談綴りによる風呂の水面に逆に映る姿

そうです、鏡に映る世界は全てが左右逆であるはずが
なんと、逆ではない自分が湯船に映っているわけです。

頻繁に心霊を見てしまうという、霊感の強い兄貴。
母は、まだ子供だった私には、家で起きた変な体験は絶対に話すなと兄貴を口止めしていたようです。

この怖い話は高校生になってから初めて話してもらえましたが、、都市伝説のように遠いお話でも怖いのに、こういった身近すぎる実話怪談は本当に簡便で、やはり暫くはお風呂に入るのが恐怖になりました。

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