【実話怪談】深夜の無人パーキングで金縛りになりお経が聞こえる~中国道PA(2000年代)

昭和京都の怪談綴りによる不気味な無人の中国道パーキングにいる伏見七狐

深夜、誰も居ない高速のパーキング。


これは京都ではありませんが、比較的最近の怖い話です。
中国道の深夜の無人パーキングエリア。
今回はそのなんとも言えない不気味な空間で体験した、背筋の凍るような実話怪談を書き綴ります。

1.利用者の激減した中国道

高速道路のパーキングエリア(PA)やサービスエリア(SA)。
長いドライブには欠かせない、心身を休めるオアシスですね。
誰しも1度は利用されているのではないでしょうか。
PAとSA の違いは、施設や規模による物ですが、このお話は、規模の小さいあるパーキングエリアでの恐怖体験となります。

当時私は、仕事でちょいちょい九州へ行っておりました。
現在、関西から九州へ向かう高速道路は、山陽道と中国道があり、山陽道の方が近いので、深夜の中国道は、岡山や広島などは車がほとんど走っていません。
ある時、私は考え事をしながら運転していたせいで、分岐を間違えて中国道の方へ入ってしまいました。

2.中国道深夜の不気味なパーキングエリア

このまま中国道経由だと、九州まで向かうのには遠回りになってしまいます。
しかし日本道路公団の高速道路はスタートとゴールが同じだと料金は同じなので「まあたまには中国道もいいか」と思い、そのまま九州へと向かいました。

ほとんど車のいない、深夜の高速道路をひたすら走ります。
かなりの距離を走ったところで、少しあくびが出ました。

眠気覚ましに冷たいコーヒーでも買おうと思ったところで、ちょうど小さなパーキングエリアの看板が出てきました。
かなり険しい山奥を貫いて作ったような場所です。
左ウインカーを出してそのパーキングへ入ると、珍しいことに駐車場には車がゼロでした。

いくら小さなパーキングと言えど、トラックや観光バスが何台か停めるスペースがあり、営業時間は食事も提供している程度のキャパはあります。
深夜なら、長距離トラックが仮眠のため何台か停まっているものです。
私の車しかいないという状況、これはさすがに珍しくも不気味な光景でした。

そして私しか居ないのをいい事に、駐車スペースの白線も無視して一直線、トイレ前へ停めましたトイレから出て、休憩スペースのある施設へ向かいます。
改装したばかりなのか中も綺麗でした。

施設内には、土産の売っている小さな店舗のシャッターは閉まっています。
しかし奇妙なことに、施設は完全に無人状態であるのに、なぜか大きな液晶テレビが付けっぱなしになっております。

従業員が消し忘れていたのでしょうか。
または、休憩スペース利用者のために付けっぱなしにしているのか。

いずれにせよ、この深夜の山奥にある無人パーキングエリアで出会ったのは「付けっぱなしのテレビ」だけというのが逆に気味が悪かった、という感覚をお分かり頂けるでしょうか。

 

3.金縛りとお経

当時の私も、無人だと知った瞬間にちょっとゾクッとしたのですが、とりあえず自販機で冷たいコーヒーを買って、テレビを見ながら休憩することにしました。
しばらくつまらない深夜番組を見ていると、ウトウトしてきて、いつの間にか眠ってしまっていたようです。

しかしテレビの音は意識にあり、疲れていたのか自分のイビキまでもが聞こえており、身体は寝ながら意識は半分起きているような状態でした。
意識はあるのに身体は眠っているので動かせない。

疲れている時にこういう状態になることがあるようですが、これを金縛りだと言うのが科学的な説だ、なんて話も聞きますよね。
更には、この状態で夢なんかを見ると、まさに心霊体験に会ったような感覚になるんでしょう。これは怖いと思うほど、本人が怖いと思うビジョンを脳が再生するそうです。

しかし、この時の私はその話では説明出来ない体験をします。

まず、体を動かそうとしますが、動かない。
その私を客観的に見ると、寝ぼけているというかすごく間抜けなんでしょうが、それでもいわゆる金縛り状態の本人はかなり怖いんですよね。

その不安な気持ちに煽られて、変な音が聞こえ始めます。
まずはテレビの音声が、伸びたカセットテープのようにぐにゃぐにゃとした不気味な音になってきました。

更には、バックグラウンドではなにかのお経が多重音声のように聞こえています。

まさに私自身が怖いと思う音声を、脳が勝手にどんどん再生していく状態でしょうか。
うっすらと開けている目には、何やら自分の周囲に変な物がウヨウヨいるように見えています。
実際、この時点でもう相当怖いですよね。

これだけでも「金縛り体験の怖い話」として語る人もおられるでしょう。
意識が戻るにつれ「自分は今、半分起きているのにめっちゃ怖い夢を見ている」という自覚にまで届き、なんとか目を覚ましたいと考えます。

手足はもちろん、首も動かないので、薄くしか開けられない重いまぶたを頑張って開こうとします。
そりゃこれが悪夢だと自覚しているのですから、早く覚めたいので、誰でもそうしますよね。

私はどうやら椅子に座ったまま、テーブルに置いた両腕に顔を埋めて寝ている、ここまでは自覚出来ました。
不安を煽るような怖い幻聴や、周囲の不気味な気配の中で、どう力を入れたのかはよくわかりませんが、なんとか目を開くことに成功しました。

ガクンッとなったその瞬間に、全身も動けるようになり、ガバッと上半身を起こしました。
そうです、金縛りの夢から現実世界へ、心身共に戻って来たわけです。

4.止まないお経

ハアハアと荒い呼吸をしながら、冷たい缶コーヒーを手に取り、コーヒーを一口ふくんで落ち着こうとします。

どうやら寝ている間に、テレビは消えていたようです。
タイマー設定されていたのか、またはどこかに人感センサーがあるのでしょうか。

この時点で、目が覚めてまだ数秒ですが、、意識がハッキリとしていくにつれ、ある重大な事に気が付きます。

それに気がついた瞬間、私は口から心臓が飛び出すかと思うほどに驚いて、慌てて缶コーヒーをテーブルにカンッと鳴らして置いて、転びそうな勢いでその施設から飛び出して、車に乗り込み必死で「逃げました」。

それこそ死にもの狂いで、そのパーキングエリアから逃げました。


なぜなら、、、


夢から覚めているのに、お経の多重音声が止まらなかったのです。

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