【怪談小話】少年の写真~宇治川ライン【心霊スポット】(1990年代)

昭和京都の怪談綴りによる夜の宇治川ラインに立つ伏見七狐の背後の霊

心霊より怖いもの。

「霊より人の方が怖い」などと、「本来の意味を取り違えた大人の発言」は、怪談濁しによくあるかと思われます。
では、「人の方が怖い」とはどういった場合を差すのか。
今回はその1つとなります、京都で実際にあった怖い話、まぎれもなく恐ろしい実話怪談を小話として書き置きます。

京都の宇治川ライン。
その演歌的ロマンチックなイメージとは裏腹に、かつては「走り屋」達が夜な夜な改造車で攻めるスポットとして有名だった峠道です。

こんなに曲がりくねった峠道を高速で走るのは非常に危険であり当然ながら死亡事故が後を断ちませんでした。
そして最も事故が多発していた魔のカーブには 犠牲者を弔う花瓶などがたくさん供えられておりました。

そういった悲しい事故が多いことから心霊スポットとしても有名になり、実話怪談や都市伝説といった類の話も少なくありません。

ある時、友人が宇治川ラインを走っている 魔のカーブのガードレールに、1人の少年の写真がズラリと貼ってあったと言うのです。
一体何のために貼られた写真なのか、という話題になったのですが、その後日、その少年の写真の事実が耳に入りました。

ズラリと貼られたその少年の写真は、なんと轢き逃げにあった少年の母親が並べた物だったそうです。

地元では、お母さんが「犯人を捜して仕返ししてやりなさい」という呪いを込めて貼っていた、という噂になっておりましたが、これは恐らくこの少年の親御さんが、大切な息子さんを轢き逃げした本人に見せ付けてやろうと思ったのではないでしょうか。

轢き逃げ犯がまともな心を持った人間ならば、その罪の意識は計り知れない恐怖となったことでしょう。

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