【都市伝説】深夜の無人街を彷徨う首の折れた少女~府内某展望公園(1980年代)

昭和京都の怪談綴りによる深夜の公園の恐怖の階段



 無人街の展望公園、深夜。

その展望公園くらい規模の大きい物は、たくさんの人が訪れることを想定して作られております。
しかし、それが使われることなく廃墟となった無人街にあるとすれば、夜は照明すらもありません。
これは、その深夜の展望公園へ1人で登ってしまった友人が体験した、恐ろしい実話怪談を書き綴ってみます。

1.無人の住宅街

京都にある、地元の町外れの山奥に、住宅街の廃墟がありました。
そのてっぺんに、展望台のある大きな公園があります。

この住宅街は今でこそ家が建ち並んでおりますが、当時はほとんど誰も住むことがなく、大体の区画が廃墟と化しておりました。

実はこれにはワケがありまして・・

その当時を更に遡り、40年以上前のこと。
ここでは山を切り裂いた大規模な住宅開発計画がありました。

ところが、数百件もの区画整備が行われた段階で、プロジェクトの中心である会社は倒産。
この大規模な都市計画は立ち消えしました。

それから放置されたまま10年以上もの月日が流れた1989年。

昭和京都の怪談綴りによる恐怖の無人の街

打ちっぱなしのコンクリートと雑草だらけの区画には、それでも断続的にポツポツと家は建っておりました。
当時は、人の気配が少なかったこの広い山の区画は、昼間でもなんとも言えない不気味さがあり、怪談や怖い話といった噂話はいくつかありました。

そして、その住宅街の頂上にあるのが、件の展望公園です。
住宅街の公園としては大きめで、公園内に設置された通路を登ると、街を一望出来る、実に綺麗な展望台があります。

その当時、ちょっとヤンチャだった私は、その展望台を仲間達との溜まり場に使っておりました。
当時は周囲に誰も住んでいなかったので、若者が夜に溜まるのには都合が良く、一時期はこの展望台に、夜な夜なバイクで集まっていたのです。

しかしそれは、数日で終わる事になります。

2.深夜の公園でブランコに乗る少女

ある週末の深夜1時過ぎ。

仲間の一人が、誰か来ているのを期待して、バイクのまま公園に乗り上げ、展望台へ上がって行きました。
展望台には誰もいなかったので、一人でウォークマン(現代で言うipodです)を聴きながら夜景を楽しみ、しばらく待ったが誰も来ないので帰ることにしました。
彼は展望台から公園へ続く細い坂道をバイクで降りて行きます。

ふと彼の視界に、何か「動いている物」が入ってきました。

一瞬ビクッとしてそちらの方を見ると、坂の下に見えるブランコが動いてます。
思わず軽くブレーキを握り、足を地面に着けてブランコを見ると、、髪の長い少女がブランコに座っていました。

昭和京都の怪談綴りによる深夜の公園のブランコに乗る幽霊の少女



ああ、子供がブランコに乗ってるんだな」と思った彼は、アクセルを回してそのまま公園を出ます。
入口から道路に出る軽い段差をタイヤが降りた辺りで、彼は事態の異常性に気が付く。

今って・・深夜2時だよな・・・

この時彼の頭には、深夜のブランコ少女といった怪談が頭によぎったのではないでしょうか。

 

3.彷徨う首の折れた少女

彼がギョッとしたその瞬間、「ここは人の居ない山奥」という事実が更に脳裏をかすめる。
これはヤバイと感じた彼は公園を振り返らず、急いでバイクを加速させます。
真っ暗闇の中、バイクのヘッドライトだけが道を照らす。

よくよく考えると、ここは信号機どころか街頭すら通電していない無人の街。
街、、というよりも、道路だけがある山奥。
そう思うと、一気に恐怖が込み上げてくる。

山を降りきって、地元の幹線道路に出るまで、距離にしてたかだか2~3kmだが
彼には途方もなく長い距離に感じた。
しかしなんとか、幹線道路を照らすオレンジ色の街頭が見えてきた。

幹線道路に出て、ひとつ目の信号機が赤になっている。
彼はその恐怖からも、ようやく解放されたと思い、交差点の停止線で停まり、ふ~っと大きく息をついた。

そして、なにげにバックミラーを横目で見ると、かなり後ろの方から歩道を歩いて来る人が見えます。

ああ、街に戻った」という安心感を覚えた。

しかし、遠くバックミラーに映るその人は、歩いているように見えるのだが、かなりの速度でどんどん近づいて来ているのです。


この人間、なにかおかしい。



そう感じて、バックミラーをじっと見ていると
なにがおかしいのか」がわかったのです。

彼はハッとして左後ろを振り返ると、そこには・・


昭和京都の怪談綴りによる首が真横になった幽霊の少女


なんと、首が90度、真横に傾いた少女が歩いてきているのです。

彼は信号も見ずにフルスロットルで逃げ帰りました。
その完全に真横になった顔は、青く無表情で、彼の脳裏にハッキリと焼きついてしまいました。

この首の折れた少女が、ブランコに乗った少女だったのかはわからなかったそうですが、その関連性からか、彼は「たぶん同一人物だったと思う」と話しておりました。
いずれにせよ、その両者とも常識ではありえない不気味な状態の少女だった、ということです。

その後、このお話の他にも、この展望公園には深夜に少女がいたという噂話が、複数発生しておりました。
今も語り継がれているそうで、この京都の外れにある地元では有名な都市伝説となっております。

彼女は一体どういう経緯で、この寂しい深夜の公園でブランコに乗っていたのか
また、歩いて追ってきた意図はなんだったのか。

実に怖い話ではありますが、当時これを体験したバイクの彼は、無事に帰宅して後日も特におかしな体験はしておりません。
また、彼女との遭遇による事故や不幸などのネガティブな噂は聞いたことがありません。

出て行けというメッセージであったのか、はたまた構ってほしかったのか。
いずれにせよ、この彷徨う少女は悪霊の類ではなく、人の前に姿を現して何かを訴えたかったのではないでしょうか。

※追記

先日実家に帰った際に、娘の七狐と共にこの公園を訪れてみました。
お話の中で出ました「例のブランコ」は無くなっておりましたが、桜の咲いている実に美しいその公園は、今もしっかりと維持管理されておりました。

そして例の展望台まで登ってみると、想定外の物を見ました。

展望台の柵の外に、かわいい綺麗な人形と、おそらくは菓子でも入ってそうな小さな紙袋が添えてありました。
お天気の良い昼間でしたが周囲には誰もおらず、それが何であるのかまでは知り得ません。

このお話の少女が何者であったのか、このかわいらしい人形は何であるのか、ここで何が起きたのか。
それは私達にはわかりませんが、いたずらに近隣で聞き込みなどをすることではないと感じましたので、七狐と共に無言で手を合わせてから、景色の良い展望台の坂道を降りました。